宗教について 〜 人の生と死を考える 注23

公開: 2023年3月11日

更新: 2023年4月7日

注23. 仲間を弔う行為

「仲間を弔う行為」として具体的に考えられるのは、獲物を追っていた仲間の場合、仲間の死体を野に放置するのではなく、自分達が暮らしている場所まで持ち帰り、集落の全員が参加する集まりでその仲間が「どのように死んだのか」を皆に報告し、その仲間が集団の人々に対して、どのような役割を果たしたのかの功績をたたえ、死者の死後の世界での安寧や平和を皆で祈る儀式を行うことを意味します。

これらのこと全てを言葉に表現して行うことができたかどうかは分かりませんが、そのような集団メンバーが共有できる感情を共有するための、何らかの行為を行ったと考えられます。その儀式の後で、死者を葬る活動をしたのではないでしょうか。それを行うことで、その集団の結束を強め、同じ活動を行うときの、集団メンバーの気力を維持することができたのでしょう。

その集団で行う活動で、もし自分の身を危うくする問題が発生しても、その結果としての自分の死が、無駄な死にはならず、自分の家族や周囲の人々には、意味のある死であることを確認できるように、社会全体で対応してくれることを認識することが、人間集団には重要なのです。

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